クリスチャン・ディオールの服を持っていなくったって、
クリスチャン・ディオールのバッグを愛用していなくったって
クリスチャン・ディオールという名を聞いたことのある人なら観ておく価値のある展覧会です(2023年5月に終了)。
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」と題された大規模な展覧会が、東京都現代美術館で2022.12.21-2023.5.28まで開催されました。
ファッションの色と型がぶわ〜っと押し寄せてくる濃密で匂い立つ空間を、たっぷりと味わってきました!
ディオール展 行ってきた感想
美術館での5か月にも及ぶ展示は、そうあることではありません。
それだけに、この展示にかける意気込みとスケールの壮大さはすばらしいものでした。
夢の世界に酔いしれるスケール感
色彩の洪水、形のマジック
足を踏み入れたとたん、匂い立つファッションの世界が空間のすみずみにまで広がっていました。
押し寄せるドレスたち、ため息が出るほどのめくるめく感動
夢心地で体感する濃密な空間でした。
女性なら誰もが憧れる華やかなドレスの数々
色、かたち、デザイン、素材、細やかなディティールに至るまで計算され尽くした美が
見るものを夢の世界へといざないます。
マネキンたちが口々に、私を見て!と語りかけてきます。
まとうことで完成するドレス
ドレスの役割は、女性をより美しく見せるため。
ドレスそのものも美しいのですが、身につけることでドレスに命が吹き込まれます。
予想どおりというか、展覧会の女性率は90%以上。
年齢層は10代から60代まで幅広く、中でも20〜30代が多かった印象です。
その中で数人の男性姿も目にしましたが、目立っていました。
ディオール展 写真撮影OK!SNS時代を意識した企画!
ディオール展は、SNS時代を意識した思い切った見せ方が話題になっていました。
館内すべて写真撮影がOK!
これほどの規模の展覧会で、入場者に寄り添った大胆な企画がすごい!
会期は5か月と長かったですし、
先に展示に行った人がSNSに上げていて、その効果でますます人気が高まりチケットが取りづらい状況に。
チケットは完全日時指定。
発売開始と同時にアクセスが集中して、パソコン画面の前で30分も待ってようやくゲットできました。
会場はどこでも写真撮りがOK
私は展覧会ではじっくり鑑賞したい派ですが
ディオール展では、まず写真を撮ってから鑑賞するスタイルで、記録としてできる限りの写真を撮りました。
こんな贅沢な企画はめったにありませんから!
ディオール展、白い部屋はトワレの部屋
色彩にあふれたディオール展で唯一異彩を放つ区画が、「白い部屋」。
ファッションデザイナーは、洋服を作るとき、白い布で試作品(サンプル)をつくります。
サンプルのことをフランス語で「トワレ」といいます。
真っ白なトワレが一堂に並ぶ部屋は、部屋も真っ白なら、トワレも真っ白、天井まで真っ白な空間です。
白はご存じのとおり色情報を持たない無彩色です。
そのため、かたちそのものの美しさやシルエットのライン、プリーツの出かたなどが目で見てわかりやすいのです。
柄や色情報がないぶん、かたちやディティールが確認しやすいのです。
ディオール展 すごい!夢の世界に酔いしれた!
ディオール展には、13の展示区画があったのですが、中でも心惹かれたのは、カラー別のコレクションがずらりと並んだ第8室の「コラロマ」。
まるで宝石箱をひっくり返したような、カラフルで胸踊る展示空間でした。
昔小さな女の子だった時代に憧れ、遊んだおままごとの世界
かわいいもの、美しいもの、好きなもの
かつて少女だった大人の「好き」を詰め込んだミニチュアの世界
リカちゃん人形で遊んだ頃の光景が、目の前の展示に再現されていました。
ピンクの部屋
赤の部屋
緑の部屋
好きな色の前で立ち止まって、ミニチュアの世界に浸り、タイムスリップしました。
ずっと見ていたい
ずっとここにいたい
世界に入り込む没入感が心地よく、いくつになっても心の中に夢の世界を持ち続けていたいと、強く感じたのでした。
ディオール展 見どころのひとつ 自由すぎる発想の着物ドレス!
ディオール展で学んだ! ファッションとは美しい生き方!
ディオール展では、自分への問いかけがありました。
どんなシルエットが好き?
ふんわりしたギャザースカートが好き!
スラリとしたAラインもすてき!
あなたはなぜそれが好きなの?
好きな理由は?
色・かたち・素材が組み合わさってファッションは完成します。
やわらかい布、ハリのある素材
私はハリのある素材が好きで、布の存在感が安心感をもたらしてくれるから
落ち着いたピンクよりの赤が好きで、今の気分に合う元気の出る色だから
ディオール展で、私なりの答えを見つけることができました。
ディオール展 楽しみ方!ぶっ飛んだ展示が!
真鍮(しんちゅう)の硬いドレスは、着ていくシーンがイメージできない!
非常ベルのバッグは、使うシーンを選びそうで、「押したくなる衝動にかられる禁断の欲望バッグ」と名付けたい!
これらはファッションショー向けに企画されたエンターテイメント性をもつファッションだと思われますが。
バラエティに富んだインプットでお腹いっぱいになったディオール展でした。